分野別の詳説:参照したマニュアルの主要な仕組み・操作・設定を翻訳・要約・再構成した日本語解説です。全項目の逐語訳ではありません。確認順や例は編集上の補足です。手順から先に読み、必要なときに後半の仕組みの解説へ進めます。

この章の目標:輪郭から細部へ進む。
準備:コピーしたメッシュ・Sculpt Mode。

Grabで比率 → Drawで量を加える → Maskで保護 → 解像度を段階調整。成功:輪郭と細部を分けて調整できる。注意:密度を上げる前に形を決めていない
手順と確認点の模式図。図を押すと拡大できます。

実践:大きな輪郭から局所の凹凸へ進む

  1. 対象メッシュを別名保存し、必要ならScaleを適用します。Sculpt Modeへ入り、対称に作るなら原点と軸を確認します。
  2. 大きなGrabブラシで全体の比率を変えます。Grabはストローク開始時のブラシ範囲にある頂点を動かすため、動かし始める位置と半径が重要です。
  3. Clay StripsやDrawなどで量を加え、Smoothでつなぎ目を整えます。Shiftでのスムーズ操作はSmoothブラシの設定を利用するので、強さを変えたい場合はSmooth側を調整します。
  4. 変えたくない部分をMaskし、Face Setsで部位の区別を作ります。マスク、Face Sets、非表示は別の情報です。
  5. 細部が足りない段階で、Voxel Remesh、Dyntopo、Multiresolutionのいずれが現在のデータへ適するかを選びます。解像度を増やしてから大きな比率を直すより、段階を分けます。
  6. 輪郭、表裏、細部を確認して保存します。滑らかな陰影だけを見ず、分割密度と実際の形も見ます。

ブラシが動かない場合は、Strengthだけを上げる前に、マスク、選択、非表示、アクティブ対象を確認します。ブラシの全設定が全タイプで使えるわけではなく、Grabではサイズ・強さの筆圧など一部の設定に対応しません。

ブラシを形の変化から選ぶ

ブラシ主に変えること調整の要点
Draw / Draw Sharp表面の盛り上げや鋭い境界Radius、Strength、法線方向、反転を使い分ける
Clay / Clay Strips粘土を重ねるような面と量大きい形に対して細かすぎる筆跡を入れない
Grab範囲の位置と大きな輪郭開始時の範囲、シルエット、裏側への影響を見る
Inflate法線方向への膨張・収縮狭い場所での自己交差に注意する
Crease / Pinch溝や細い境界へ寄せる面密度が不足すると細い線が崩れる
Smooth頂点位置のばらつきをならす体積や必要なエッジまで失っていないかを見る
Plane / Scrape平面的な形を整える筆跡の基準面と当てる方向を確認する
Pose関節のような広い変形マスクやFace Sets等の範囲と組み合わせる
Mask変形から保護する値マスク表示の色を、形や材質の色と混同しない

解像度方式を決める表

方式接続の変化向く作業と注意
Dyntopoブラシ付近を必要に応じて分割・縮約局所の形を延ばす。元のUV・属性等との条件を確認する
Voxel Remesh全体をボクセル基準で作り直す塊を融合して形を整理する。小さい穴や薄い部分を失うことがある
Multiresolution基礎形状に複数の細分化レベルを持つ低い形と細部を段階的に編集する。基礎の接続変更には制限がある

DyntopoのDetail方式には、画面上の大きさを基準にするものやオブジェクト側の密度を使うものがあります。値の大小だけを別方式と比べません。Refine Methodは分割だけか、縮約も行うかへ関係します。

Voxel Sizeを小さくすると細部を保持しやすくなりますが、三次元に密度が増えるため負荷も増えます。いきなり極小値にせず、形の最小部分との関係で決めます。MultiresはSubdivisionと同じ感覚で基礎メッシュを自由に変更できるわけではありません。

マスク・Face Sets・フィルターの使い方

Maskを作り、反転して保護する側を切り替え、必要な場所だけでGrabやTransformを使うと、局所の比率を直せます。Face Setsは部位を分ける情報で、ブラシの境界条件や選択へ利用できます。Maskが薄く残っていると、弱くしか動かない原因にもなります。

Mesh Filterは広い範囲へ、Cloth Filterは布のような計算、Color Filterは色へ作用します。どれも対象が全て同じとは限らず、マスクや表示の状態が範囲へ影響します。TrimやLine Projectを使う場合は、裏側も含む切断・投影の結果を確認します。

作った高密度モデルを実用的な軽い形へ移す場合、Remeshだけで変形しやすい接続やUVが自動で完成するわけではありません。リトポロジー、UV、NormalやDisplacementのベイクを別工程として扱います。元の高密度モデルも保持します。

仕組みと用語を調べる

ブラシで形を変える

Sculpt Modeはブラシの範囲で形を変える編集です。Edit Modeのように一つずつ頂点を選ぶ方法とは操作の単位が違います。細部を作るには十分な面の密度が必要ですが、最初から細かくすると大きな輪郭の修正が難しくなります。大きな形から始め、必要な部分へ解像度を割り当てます。

ブラシはアセットとして管理されます。Essentialsなどのライブラリにあるブラシを選び、サイズ、Strength、減衰、ストローク方式、対称性を確認します。筆圧は半径と強さで別の設定があるため、ペンタブレットを使う場合は何に反映されているかを確かめます。

形を盛る・削るブラシ

  • Draw・Draw Sharp:表面を押し出す、鋭い境界を作るなどの編集に使います。
  • Clay・Clay Strips・Clay Thumb:粘土を重ねるように量を加えます。
  • Layer:一定の層を意識した盛り上げに使います。
  • Inflate・Blob:膨らませる形を作ります。
  • Crease・Pinch:溝や締まった境界へ形を寄せます。
  • Smooth:局所的な凹凸をならします。必要な輪郭まで消さないよう強さを調整します。
  • Plane・Scrape Multiplane:面をそろえたり、複数方向の平面感を作ったりする用途があります。

形を動かすブラシ

Grabは範囲を引いて輪郭を変え、Elastic Deformは弾性的な変形を扱います。Snake Hookは形を引き伸ばし、Thumb、Nudge、Rotateは異なる移動や回転を与えます。Poseは関節を曲げるような変形、Boundaryは境界を使った編集に役立ちます。

Relax Slideは表面の頂点分布を整える編集で、単純に形を削るSmoothとは目的が異なります。Scene ProjectやClothのような専用のブラシでは、参照する形やシミュレーションの条件も確認します。ブラシの名前だけでなく、変形方向と影響範囲を見て選びます。

マスク・非表示・Face Sets

Maskは変えたくない部分を保護します。非表示は作業の邪魔になる部分を隠します。Face Setsは面をまとまりとして扱う情報です。三つは互いに似た範囲を指定できても、同じデータではありません。

BoxやLassoなどのジェスチャーツールで広い範囲を指定し、Expandで条件に沿って範囲を広げられます。境界をまたいで変形したくない場合は、マスクやFace Setsを先に作る方法があります。何も動かないときは、強さより先にマスクと非表示を確認します。

Dyntopo・Voxel Remesh・Multiresolution

Dyntopoはブラシ操作に応じて局所の接続を変えます。解像度の方式と値により、細かさの基準が変わります。Voxel Remeshはボクセルを基準に全体の形を作り直します。細部を残したければ、小さなボクセルが必要になる一方、メモリ負荷も増えます。

Multiresolutionは複数の細分化レベルを使い、元の構造と細部の編集を両立する手段です。これらは同じ「面を増やす機能」ではありません。UV、属性、シェイプキーなどとの互換条件も異なります。重要な情報があるモデルは、処理前に複製や別名保存で残します。

フィルターと広範囲の編集

Mesh Filterは広い範囲へ変形、Cloth Filterは布に似た変化、Color Filterは色へ作用します。Transformの操作はマスクなどと組み合わせて部分を動かせます。TrimやLine Projectは輪郭を大きく変えるため、裏側も含めた結果を確認します。

対称性はオブジェクトの軸を基準に働きます。形の中心と原点・座標の関係がずれていると、期待した位置で対称になりません。複数オブジェクトを扱う場合も、現在のアクティブ対象と、編集対象へ切り替える操作を確認します。

色と解像度の確認

Sculpt中のPaint、Smear、Blurなどは色を扱います。どのColor Attributeへ記録するか、画面がそれを表示しているかが重要です。形のスカルプトと色の編集を混同せず、後の材質でその色を利用する接続も確認します。

滑らかな見た目と、十分な実形状は別です。凹凸がギザギザになる場合は、ブラシの強さだけでなく、その場所の分割密度とトポロジーを調べます。作業用モデルから軽いモデルへ移す場合は、リトポロジー、UV、ノーマルなどのベイクを別工程として考えます。

検証した範囲

最終確認:2026年10月23日。Blender 5.2.2 LTS(macOS / Apple silicon)を背景実行し、次の内容を確認しました。

  • Voxel Size 0.25でRemeshを実行し、頂点密度の増加を確認。ブラシストローク・筆圧・Mask操作は未検証。

背景実行ではPython APIを使用しています。マウス・キー入力、画面遷移、インストール、各入力機器での操作を通して確認したものではありません。上記にない応用・設定の組み合わせは実行未検証です。

出典と利用条件

この記事で参照したマニュアルの項目:

原著:Blender Documentation Team、Blender 5.2 Manual。底本はBlender 5.2 LTS ManualのEPUB版です。ファイル内の発行日時メタデータは2026年10月19日で、記事の検証日とは別です。原典のライセンス表示に従い、裏庭(Uraniwa)が翻訳・要約・再構成・説明の補足を行いました。この記事の本文・補足・独自の図解と作例画像はCC BY-SA 4.0で公開します。Blender公式による記事・推奨を示すものではありません。原典で適用対象外とされるロゴ・商標・アイコン・ソースコード・Pythonスクリプトなどには、この許諾は適用しません。