分野別の詳説:参照したマニュアルの主要な仕組み・操作・設定を翻訳・要約・再構成した日本語解説です。全項目の逐語訳ではありません。確認順や例は編集上の補足です。手順から先に読み、必要なときに後半の仕組みの解説へ進めます。

この章の目標:液体を段階で計算する。
準備:保存した.blend・Domain内のFlow。

FlowをLiquid → DomainをLiquid → Bake Data → Mesh → Bake Mesh。成功:基本計算の後に液体の表面ができる。注意:古い基本キャッシュへ新しいMeshを重ねる
手順と確認点の模式図。図を押すと拡大できます。

実践:液体の発生から表面の保存まで

  1. 液体を発生させるメッシュと、それを十分に囲うDomain用のメッシュを作ります。Domainを無駄に大きくしないようにします。
  2. Domain側でPhysicsのFluidを追加し、TypeをDomain、方式をLiquidにします。Flow側はTypeをFlow、Flow TypeをLiquidに合わせます。
  3. 一度の液体の塊ならFlow BehaviorをGeometry、継続して注ぐならInflowにします。排水はOutflowです。発生源がDomainの外にないかも確認します。
  4. 必要な障害物へFluidのEffectorを設定します。薄い面や格子より小さい部品は認識が不十分になる場合があります。
  5. .blendを保存し、DomainのCacheで保存先と開始・終了フレームを決めます。Replayで確認する場合は、TimelineのPlaybackメニューのSyncをPlay Every Frameにします。Replayはこの同期方式が必要です。Frame DroppingやSync to Audioを使う場合は、ModularまたはAllで事前にベイクする方式を選びます。
  6. 低い解像度で試します。ModularではDomainの基本計算をBake Dataで保存し、その後Meshパネルを有効にしてBake Meshを行います。気体へNoiseを加える場合も、基本データの後にNoise側のベイクを行います。AllではCacheのBake Allでまとめて計算します。基本設定を変えたら古い関連キャッシュを解放し、基本計算から後段の順にベイクし直します。
  7. Domainの表面材質を設定し、光とカメラを整えます。Meshを有効にしたのに元の箱が見える場合は、対応するメッシュキャッシュが存在するかを確認します。
  8. キャッシュの位置と.blendを保持します。別の場所へ渡すときは、必要なキャッシュと参照先も管理します。

気体・液体・キャッシュの設定表

項目意味調整の判断
Resolution Divisions最長辺を基準にした格子の分割同じ値でDomainを大きくすると粗くなる
Time Scaleシミュレーション内の時間の速さFPSやキーを移す操作と区別する
Sampling Substeps発生源等をフレーム間でも評価する回数速い移動で発生が飛び飛びになる場合に関係する
Geometry / Inflow / Outflow初期体積・継続発生・削除出したい量と時間に合う方式を選ぶ
Use Flow流入・流出を有効にする時間でオン・オフする場合も対象方式を確認する
MeshのUpres Factor表面生成の解像度を高くする基本の運動の解像度を上げる操作とは別
Particle Radius粒子が表面へ寄与する範囲大きいと体積が膨らんで見えることがある
Replay再生しながらキャッシュを確認SyncをPlay Every Frameにする。先頭から順に評価する
Modular基本計算やMesh等を段階でベイク後段のデータを、古い基本計算に重ねない
AllBake Allで計算をまとめて保存原典後段ではFinalとも表記。試行錯誤時の再計算量と保存先を考える

液体の粒子の状態と、その粒子から作る表面は別です。Upres Factorや表面平滑化で見た目は変わりますが、基本の流れを解く格子が粗い場合、その運動の細部を完全に再現するわけではありません。

実践:煙・炎を表示する

  1. DomainをGasにし、FlowをSmoke、Fire、Fire + Smokeのいずれかへ合わせます。
  2. 発生源をDomain内へ置き、密度、温度、燃料など方式に対応する値とFlow Behaviorを調整します。
  3. 低負荷の設定で動きと期間を確認し、必要ならNoiseやAdaptive Domainを使います。基本計算と細部の追加を分けます。
  4. Domainの材質でPrincipled VolumeをMaterial OutputのVolumeへ接続します。密度や温度等の情報と参照名を合わせます。
  5. 光とカメラ、Volumeの計算品質を調整します。何も見えないときは、流体計算、材質、照明のどこが原因かを別々に確認します。

煙はSurfaceの色を変えるだけでは表現できません。炎の発光を強める操作と、燃料や温度によって変わるシミュレーション自体も区別します。

旧パーティクルとDynamic Paintの手順

Emitterでは、発生するメッシュ、個数、開始・終了、寿命、初速、重力や力場を設定します。表示用の数を抑えていても最終出力では多数になる場合があるので、ViewportとRenderの設定を分けて見ます。Particle Hairは新しいCurvesとは設定の入口とデータ構造が異なります。

Dynamic Paintでは、受け取る側にCanvas、影響させる側にBrushを追加します。CanvasのSurface TypeをPaint、Displace、Wavesなど目的に合わせ、VertexかImage Sequencesかを決めます。Vertex方式では面の密度、画像方式ではUVと画像の解像度が細部を決めます。

ブラシをアニメーションし、期間とSub-Steps、出力を設定して計算します。画像連番なら保存先と期間を、Color Attributeなら材質側の読み取りを確認します。CanvasとBrushを同じ物体へ追加できても、自分自身のBrushが自分のCanvasへ作用するわけではありません。

仕組みと用語を調べる

流体を構成する三つの役割

流体シミュレーションには、計算する空間のDomain、液体や気体を出すFlow、衝突などで影響を与えるEffectorがあります。DomainとFlowは最低限の構成で、障害物が必要な場合にEffectorを用意します。物体の形に水の材質を付けることと、流れる水の運動を計算することは別です。

Domainは液体か気体の方式を選びます。Flowも対応する方式に合わせます。煙用の入力を液体Domainへ置くなど、役割が一致しない構成では目的の結果が出ません。Quick LiquidやQuick Smokeは初期構成を作る手段ですが、生成したオブジェクトの役割を理解してから調整します。

Domainの範囲と解像度

Domainは計算領域を囲む直方体です。別のメッシュ形状を使っても、計算領域はそのBounding Boxを基にします。流体はこの外へ自由に計算を続けられず、境界の設定に応じて衝突したり消えたりします。必要な範囲を囲い、不要に大きくしないことが基本です。

Resolution Divisionsは最長辺を基準にした分割数です。同じ値のままDomainを大きくすると、ボクセルも大きくなり細部が粗くなります。三方向を細かくすると格子数が大きく増えるため、解像度の増加は計算時間、メモリ、ディスクへ強く影響します。Time ScaleやAdaptive Time Stepsも、運動と安定性へ関係します。

FlowとEffector

Flowでは一度だけ体積を作るか、継続して流入させるか、流出させるかなどを選びます。初速、動く発生源から受ける速度、密度や温度などは方式に応じて異なります。発生源が非常に薄い、または格子より小さい場合は、形をうまく認識できないことがあります。

Effectorの衝突でも、表示メッシュと計算の解像度の関係が重要です。水が壁を抜ける場合は、厚み、スケール、解像度、フレーム間の移動量を確認します。材質の透明度を変えても、衝突の判定は改善しません。発生源と障害物が初期状態で交差していないかも調べます。

液体の表面と二次粒子

液体の計算結果から表面のメッシュを生成し、材質で水や粘性のある液体に見せます。シミュレーションの状態、表面の生成、シェーディングを分けて考えます。表面を細かくしても、元の計算が捉えていない運動を完全に取り戻せるわけではありません。

泡、飛沫、気泡などの二次粒子は別の結果として生成できます。粒子の数と大きさ、寿命、表示やレンダーで使う形を確認します。表面が滑らかかどうかと、細かな飛沫が適切かどうかは別の判断です。粘性や表面張力などの設定は運動に、TransmissionやRoughnessは光の見え方に作用します。

煙と炎の表示

気体では密度、温度、速度などを空間の情報として扱います。煙はVolumeのシェーダーで表示し、炎には発光に関係する設定も必要です。計算できているのに見えない場合は、Domainの材質がVolumeへ接続されているか、参照する属性名、密度、照明を確認します。

Adaptive Domainは必要な範囲へ計算を絞るために使います。Noiseなどによる細部の付加と、基本の流れを解く計算も区別します。高精細な仕上げを先に有効にするより、低い負荷で流れと時間を整える方が修正範囲を把握できます。これは編集上の進め方です。

キャッシュ方式と保存

流体にはReplay、Modular、Allなどのキャッシュ方式があります。選択によって、再生しながら確認するのか、基本計算・メッシュ・ノイズなどを段階的にベイクするのかが変わります。別の方式の手順を、そのまま同じボタンの順で実行できるとは限りません。底本のCacheページには、方式一覧のAllを後段でFinalと呼ぶ表記の不一致があります。本記事では一覧に合わせてAllと記載していますが、対象版UIを実機で確認したものではありません。

.blendの保存と流体キャッシュの保存先を確認します。キャッシュは容量が大きくなり、別のパソコンへ移す場合にも必要です。開始フレーム、期間、既存結果の削除と再計算を管理し、設定を変えたのに古い結果を見ていないかを確かめます。画像のベイクやGeometry Nodesのベイクと、保存形式や互換条件を混同しません。

旧パーティクルシステム

参照EPUB版にはEmitterと旧方式のHairも収録されています。Emitterでは発生数、発生時刻、寿命、速度、力、衝突などを設定し、点や参照オブジェクトなどで表示します。表示用の数を減らすことと、最終レンダーの数を減らすことは別の設定になる場合があります。

Hairではガイドとなる毛とChildrenの関係で密度を増やせます。現在のCurves Sculpt・Hair Nodesと、Particle Propertiesに設定を持つ方式は別です。元ノートや旧チュートリアルの説明を使う場合は、対象のシステムを確認します。原典にある古い表示方式の記述まで、現在のエンジンで同じように使えると決めつけません。

Dynamic Paint

Dynamic PaintはCanvasとBrushの関係から、Color Attribute、画像連番、変位、波などの結果を作る仕組みです。雪の足跡、濡れた跡、色の付着などに使えます。ここでのBrushは手で動かす通常のペイントブラシだけを指す言葉ではなく、影響を与えるオブジェクト側の役割です。

Canvasの保存形式、解像度またはメッシュ密度、時間範囲、乾燥や消去の設定を確認します。色属性を作った場合も、その情報を材質で読み出して初めて最終画像へ利用できます。同じ物体にCanvasとBrushを付けられますが、自分自身のBrushが自分のCanvasへ作用する構成とはなりません。運動、記録されるデータ、表示する材質の三段階で調べます。

検証した範囲

最終確認:2026年10月23日。本文の手順・設定は参照EPUB版を基に整理しています。この章固有の操作はBlenderで実行検証していません。図は考え方と確認点を示す模式図です。実行済みの作例としては扱わないでください。

出典と利用条件

この記事で参照したマニュアルの項目:

原著:Blender Documentation Team、Blender 5.2 Manual。底本はBlender 5.2 LTS ManualのEPUB版です。ファイル内の発行日時メタデータは2026年10月19日で、記事の検証日とは別です。原典のライセンス表示に従い、裏庭(Uraniwa)が翻訳・要約・再構成・説明の補足を行いました。この記事の本文・補足・独自の図解と作例画像はCC BY-SA 4.0で公開します。Blender公式による記事・推奨を示すものではありません。原典で適用対象外とされるロゴ・商標・アイコン・ソースコード・Pythonスクリプトなどには、この許諾は適用しません。