分野別の詳説:参照したマニュアルの主要な仕組み・操作・設定を翻訳・要約・再構成した日本語解説です。全項目の逐語訳ではありません。確認順や例は編集上の補足です。手順から先に読み、必要なときに後半の仕組みの解説へ進めます。

この章の目標:処理結果を最終出力へ渡す。
準備:レンダー画像とCompositorグループ。

Render Layers → 画像処理 → Group Output → PNG/File Output。成功:Viewerだけでなく保存結果も変わる。注意:Viewerを保存先として扱う
手順と確認点の模式図。図を押すと拡大できます。
処理結果を最終出力へ渡す:本文に対応する出力ソケットから入力ソケットへの配線図
ソケット名を対応させる配線図。実際の操作画面ではありません。
色調整をGroup Outputへ渡して保存した出力
Blender 5.2.2で実際に計算・保存した結果。検証範囲は記事末尾に記載しています。

実践:ノイズ除去から色調整・保存までつなぐ

  1. CyclesでView LayerのDenoising Dataを有効にし、レンダー結果にNoisy Image、Denoising Albedo、Denoising Normalを用意します。
  2. Compositorでノードグループを作り、必要なシーンとView LayerをRender Layersへ指定します。
  3. Denoiseを追加し、Noisy ImageをImage、Denoising AlbedoをAlbedo、Denoising NormalをNormalへつなぎます。補助入力は任意ですが、細部を保持するために使えます。
  4. 結果を色調整ノードへ、そこからViewerとGroup Outputへつなぎます。参照EPUB版ではアクティブなGroup Outputの最初の画像入力が最終結果です。
  5. OutputのPost ProcessingでCompositing Pipelineを有効にします。Viewerで見える処理が、最終出力の経路にも入っているかを確認します。
  6. 保存が必要ならFile Outputへ分岐し、画像入力、Directory、File Name、形式を指定します。ノードのOutput Pathsで実際の名前を確認します。

同じ画像へレンダー段階と合成段階でノイズ除去を重ねるつもりか、どちらか一方にするかを決めます。細部がぼける場合は、サンプル、補助パス、Denoiseの設定を調べます。既に失われた細部を色調整だけで戻すことはできません。

合成ノードの主要入力・出力

ノード入出力の役割設定と注意
Render LayersシーンのView Layerとパスを読む必要なパスはレンダー前に有効化する
Image / Movie Clip外部画像・映像のフレームを読む期間、開始位置、色空間、外部パス
Viewer途中結果を表示する保存先や最終出力の代わりではない
Group Output最終結果をグループ外へ渡すアクティブな出力の最初の画像入力を使う
File Output入力画像やパスをファイルへ書くDirectory、File Name、画像名、連番、形式
Alpha Over前景をアルファで背景へ重ねる前後の入力順とアルファの解釈を確認する
Mix / RGB Curves画像の混合や階調を変えるFactorのマスク、範囲、色管理
Blur / Bokeh Blur画素を周囲へ広げるサイズ、解像度、境界、計算量
Glare明るい場所から発光・光条等を作るGlare Type、明部の抽出、Quality。照明を実際に増やす操作ではない
Denoiseノイズ画像を推定処理するAlbedo・Normal、Prefilter、Quality、HDR
Keying指定背景色を分けてマットを作るKey Color、黒白のしきい値、エッジ、色かぶり
Mask手作業のマスクを画像として読む編集元のMaskデータと時間の対応
Cryptomatte識別パスから対象を選ぶRender / Image、Layer、Matte ID、Pick
Transform / Crop画像の位置・回転・倍率・範囲を変える余白、画像サイズ、補間、切り落とし

GlareにはBloom、Ghosts、Streaks、Fog Glow、Simple Star、Sun Beams、Kernelなどが収録されています。参照EPUB版のFog GlowはBloomより計算量が増える一方、別の光の広がりを表現します。種類だけでなく、どの明るさを抽出し、元画像とどう組み合わせるかを調整します。

実践:背景色を抜いて別の背景へ重ねる

  1. 前景素材をKeyingのImageへ、背景素材をAlpha Overの背景側へつなぎます。Key Colorに取り除く背景の代表色を指定します。
  2. KeyingのMatteをViewerで表示し、背景が黒、残す前景が白、境界が適切な中間値になるよう確認します。
  3. 黒・白レベルを調整します。背景のむらを全て強いしきい値で消そうとすると、髪などの前景も失う場合があります。
  4. 不要な周囲をGarbage Matte、必ず残したい部分をCore Matteで補う方法を検討します。Keying Screenで背景の色むらを参照する方法もあります。
  5. 色の回り込みや境界を調整し、Keyingの処理後画像をAlpha Overの前景側へつなぎます。
  6. 動画なら前後のフレームでも、細部の消失やちらつきを確認します。一枚で輪郭が鋭いだけでは安定したマットとは言えません。

実践:Cryptomatteで物体だけ色を変える

  1. View LayerのPassesでCryptomatte Object等を有効にしてレンダリングします。
  2. Cryptomatteを追加し、RenderならシーンとView Layer、Imageなら対応する多層OpenEXRを指定します。
  3. レンダー画像またはPickをViewerへ表示し、追加用スポイトで対象を選びます。Matte IDへ対象が登録されたかを確認します。
  4. Matteを色調整等のFactorへ使います。色画像を切り抜きたい場合はCryptomatteのImage入力・出力も接続します。

既に識別情報を失ったPNGへノードを追加しても、同じマスクは得られません。Object・Material・Assetのどの識別を使うかも区別します。

アルファと出力の確認

黒い縁が出る場合は、StraightとPremultipliedの解釈を調べます。境界の色とアルファを二重に掛けたり、不要な背景色を含んだままぼかしたりしていないかを確認します。色のMixとAlpha Overの役割も違います。

File Outputの画像名に区切り文字を含めると、サブフォルダーの構造へ使われる場合があります。連番名と出力先を必ず確認します。多層EXRでパスを保持する場合と、表示用の一枚へまとめる場合を分け、最後にGroup Outputと保存経路の両方を確認します。

仕組みと用語を調べる

画像を入力し、処理し、出力する

Compositorは画像をノードで加工・合成する仕組みです。入力はレンダー結果、静止画、動画のフレームなどで、基本的には一度に一枚の画像を処理します。Shader Editorが光への応答を作るのに対し、こちらは画像になった後の情報を扱います。

参照EPUB版ではCompositorのNewからノードツリーを作ります。レンダーで合成を反映するには、OutputのPost ProcessingにあるCompositing Pipelineも関係します。ノードを作ったのに最終結果が変わらないときは、処理が出力まで接続されているかと、パイプラインが有効かを確認します。旧版の画面を前提にした説明と設定を混ぜないようにします。

入力とデータ型

Render LayersからView Layerの画像や有効なパスを読み、Imageなどから外部素材を受け取ります。Imageは画素ごとの値を持ち、単一の数値は画像全体へ一定の値を与える場合があります。ただし、単一値が必要な入力へ画像をつないでも、画素ごとの処理として解釈されず既定値を使う場合があります。

色、ベクトル、数値のソケットは目的が違います。深度を見える色へ変換して確認することと、深度の数値をそのまま処理へ渡すことは別です。ノードの接続が成立しただけで、意味も適切だと判断しません。画像の範囲、サイズ、座標や変換の基準も確認します。

Viewerと最終出力

Viewerは途中結果を確認する入口です。BackdropやImage EditorのViewer表示を使い、どの段で画像が変わったかを見ます。参照EPUB版では、一部ノードを画像上のギズモから操作できます。表示が変わることと、保存用の出力へ同じ結果が渡っていることは別です。

参照EPUB版ではGroup Outputが最終的な合成結果を渡します。アクティブなGroup Outputの最初の画像入力が最終レンダーに使われ、追加のソケットは無視されます。旧版のCompositeノードの説明と混同しないようにします。File Outputは指定形式・パスへの書き出しに使います。複数の中間結果を残す場合は、名前、フォルダー、フレーム番号、出力形式を区別します。手動保存を使う場合は、Image Editorでどの画像を選んでいるかを確認します。

色を整える

露出、ホワイトバランス、RGB Curves、Hue/Saturationなどで色を調整します。全体の明るさを変えることと、特定の範囲だけを持ち上げることは別です。強い補正を何段も重ねる前に、入力画像の色空間と表示変換が合っているかを確認します。

Mixで画像を混ぜる場合、Factorは均一な数値にも、画素ごとに異なるマスクにもできます。Color Rampは数値から色や境界を作るために利用できます。黒から白の範囲へ押し込む処理は、その範囲外の情報を失う場合があります。中間データを高精度で残すことと、最終表示へ収めることを分けて考えます。

アルファと重ね合わせ

アルファは透明度を表す情報です。前景と背景の合成では、色とアルファがStraightかPremultipliedかも境界の見た目へ影響します。輪郭に黒や白の縁が出る場合は、ぼかしを増やす前に入力のアルファの解釈を調べます。

Alpha Overは前景を背景へ重ねる処理で、単なる均等な色の混合とは違います。PNGのRGBAなど、透明度を保持できる形式で保存します。JPEGへ書き出した後で元の透明部分を完全に取り戻せるわけではありません。透明背景でレンダリングする設定と、アルファを保存する設定も両方必要です。

マスク・キーイング・識別

Maskノードで手作業のマスクを利用し、Keyingで背景色などから前景を分けます。キーイングでは背景の色むら、影、色の回り込み、細い毛先などに対応します。一つのしきい値だけですべての素材を切り抜けるとは限りません。

Cryptomatteはレンダーの識別情報を使った選択に利用できます。必要なパスをレンダリング時に用意することが前提です。手で描くマスク、色から求めるキー、識別パスを使うマスクは情報源が違います。用途に応じて組み合わせます。時間方向にも境界が安定しているかを考えます。

ぼけ・発光・レンズ効果

BlurやBokeh系の処理、Glareなどで画像へ効果を加えられます。Denoiseは必要な補助パスを利用するとき、その出力も有効にします。DefocusやVector Blurなどは深度や速度の情報が関係します。通常の色画像だけを入れれば、奥行きや動きを正確に復元できるという意味ではありません。

Lens Distortion、Transform、Cropなどは画像の位置や範囲を変えます。変形の後には端の欠けや解像度の変化も確認します。画面でのプレビューと、最終サイズでのぼけ幅が違って見える場合があるので、数値の単位も確認します。

Sequencerとの連携と負荷

参照EPUB版ではCompositorのノードグループをSequencerのストリップやモディファイアーでも利用できます。映像の配置はSequencer、画像処理の内容はノードグループとして分けて再利用できます。どの入力をグループへ渡し、どの出力を使うかを明確にします。

GPUの合成はGPUメモリやUIと資源を共有します。大きい画像や重いぼけ処理で応答が低下することもあり、原典にはGPU処理の解像度などの制限があります。低解像度で処理の構成を確認し、必要な効果を選んでから最終サイズへ進めます。合成結果と.blend、外部素材をそれぞれ保存したかも確認します。

検証した範囲

最終確認:2026年10月23日。Blender 5.2.2 LTS(macOS / Apple silicon)を背景実行し、次の内容を確認しました。

  • Render Layers→Bright/Contrast→Group Outputを評価してPNGへ保存。Denoise/Keyingはこの検証に含めない。

背景実行ではPython APIを使用しています。マウス・キー入力、画面遷移、インストール、各入力機器での操作を通して確認したものではありません。上記にない応用・設定の組み合わせは実行未検証です。

出典と利用条件

この記事で参照したマニュアルの項目:

原著:Blender Documentation Team、Blender 5.2 Manual。底本はBlender 5.2 LTS ManualのEPUB版です。ファイル内の発行日時メタデータは2026年10月19日で、記事の検証日とは別です。原典のライセンス表示に従い、裏庭(Uraniwa)が翻訳・要約・再構成・説明の補足を行いました。この記事の本文・補足・独自の図解と作例画像はCC BY-SA 4.0で公開します。Blender公式による記事・推奨を示すものではありません。原典で適用対象外とされるロゴ・商標・アイコン・ソースコード・Pythonスクリプトなどには、この許諾は適用しません。