分野別の詳説:参照したマニュアルの主要な仕組み・操作・設定を翻訳・要約・再構成した日本語解説です。全項目の逐語訳ではありません。確認順や例は編集上の補足です。手順から先に読み、必要なときに後半の仕組みの解説へ進めます。
この章の目標:同じメッシュを共有する。
準備:Cubeを一つ選択。
選んでから操作する
左クリック選択の設定では、物体をクリックして選びます。複数の対象を扱うときはShiftを押しながらクリックします。標準設定では、選択物にはオレンジ系の輪郭が付き、アクティブな対象は明るい色で区別されます。複数選択の中にはアクティブオブジェクトがあります。処理によってはこの対象が基準になるため、選択されているものの数だけでなく、どれがアクティブかも確認します。
Outlinerで名前を選ぶ方法は、物体が重なって見える場合に役立ちます。F2で名前を変更できます。ファンクションキーがOSの機能として働くMacでは、必要に応じてFnキーを併用するか、メニューを利用します。
基本の形を追加する
Object ModeのAdd → Meshから、Cube(立方体)、Plane(平面)、UV Sphere(UV球)などのプリミティブを追加できます。原典では、プリミティブは3D Cursorの位置に追加されると説明しています。3D Cursorは、マウスポインターとは別の、シーン内の配置基準です。
Edit Modeで同じ追加を行うと、編集中のメッシュに形状が追加されます。独立した別オブジェクトを作りたい場合は、先にObject Modeであることを確認します。
移動・回転・拡大縮小
- Move:移動。
Gを押し、位置を変えます。 - Rotate:回転。
Rを押し、向きを変えます。 - Scale:拡大縮小。
Sを押し、大きさを変えます。
基本の変換では、Enterまたは左クリックで確定し、Escまたは右クリックで取り消せます。操作後は、まだ確定前なのか、通常の選択状態へ戻ったのかを意識してください。各操作はツールバーやObject → Transformからも呼び出せます。
軸と数値を指定する
標準のGlobal座標系で、G → Z → 1 → Enterと順番に押すと、Z方向へ1移動します。キーを同時に押すという意味ではありません。S → X → 2なら、X方向だけを2倍にします。これらの数値は、操作の意味を示す編集上の例です。
X・Y・Zは空間の軸で、通常Zが上下方向です。Global座標の正方向は、ビューポートの軸表示でXが赤、Yが緑、Zが青です。画面の右方向が常にXとは限らず、見る向きによって変わります。回転の数値入力は通常、度で指定します。たとえばR → Z → 45 → Enterは、Z軸を中心に45度回す操作です。同じ軸キーを繰り返すと座標系の扱いが変わる操作もあります。最初は、現在のTransform OrientationがGlobalであることを確認し、一度の軸指定を使います。
ScaleとDimensionsを区別する
サイドバーのItem → Transformで、Location、Rotation、Scale、Dimensionsを確認できます。Scaleは拡大縮小の倍率であり、Dimensionsは外形の寸法です。Scaleの値をそのまま実寸だと考えないようにしましょう。寸法の表示はシーンの単位設定にも影響されます。
原典のApply → Scaleは、見た目の大きさを保ったまま、スケールを1へ戻し、その変換を形のデータに移します。モディファイアーなどの結果に影響するため、意味を理解して使います。値を手入力で1へ戻す操作とは違います。
「Zへ1移動」と「Z座標を1にする」、「大きさを2倍」と「寸法を2にする」は、それぞれ同じとは限りません。相対的な操作と、数値欄に設定する状態を区別します。
小さな練習:移動を確定し、元に戻す
- 3D Viewport左上のモードがObject Modeであることを確認し、OutlinerのCubeだけを選びます。
- ポインターを3D Viewportへ戻し、
Nでサイドバーを開き、ItemのLocation Xの値を見ます。 G→X→1→ Enterと押します。立方体がXの正方向へ動き、Location Xが操作前より1増えれば成功です。- Edit → Undoで一つ前の状態へ戻します。立方体の位置と数値が戻ったことを確認します。
- 今度は
Gを押してポインターを少し動かし、確定する前にEscを押します。移動が取り消されれば成功です。
次にR → Z → 45 → Enter、S → 1.2 → Enterも一つずつ試せます。それぞれ結果を見たらUndoで戻し、形の編集へ進む前に元の位置・向き・大きさへ戻してください。Escは「進行中の操作の中止」、Undoは「確定済みの操作を戻す」ために使います。保存は変更を記録する操作で、Undoの代わりにはなりません。
取り消しと保存
macOSの標準キーマップでは、保存はCommand+S、取り消しはCommand+Z、WindowsではCtrl+S、Ctrl+Zが基本です。ただし、原典はmacOSのCtrl→Command置換に例外があるとしています。ほかの操作まで一律に読み替えず、メニューに出る割り当ても確認してください。
初回のFile → Saveでは保存先とファイル名を決めます。区切りごとの状態を残すにはSave AsやSave Incrementalが使えます。「保存すれば何段階前にでも戻れる」とは考えず、必要な節目は別ファイルとして残します。
実践:同じ部品を共有し、必要な一つだけ独立させる
- Object Modeで部品を一つ選び、ObjectのDuplicate Linkedで複製します。移動中に位置を確定します。通常のDuplicate Objectsとはメッシュ共有の扱いが違います。
- 複製した一つをEdit Modeで編集します。同じメッシュを共有する他のオブジェクトにも形の変更が現れる構成です。Object Modeで複製の位置だけを変えた場合は、他の配置は変わりません。
- 一つだけ別形状へ変えたい場合は、そのオブジェクトのObject Dataでメッシュのユーザー数をクリックするなど、メッシュをSingle Userにします。
- 改めて形を編集し、どこまで独立したかを確認します。材質はまだ共有している場合があるので、独立した色が必要ならMaterial側も別データにします。
通常のDuplicateでも、すべてのデータが独立するわけではありません。標準的にはメッシュをコピーし、材質などは共有する構成です。Preferencesの複製設定による差もあるため、「複製したから他へ影響しない」とは判断しません。
親子関係を作り、見た目と変換値を読む
- Object Modeで子にしたい部品を選び、最後に親を選んでアクティブにします。
- ObjectのParentからObjectへの親子付けを行います。見た目を保持する方式やParent Inverseの扱いにより、数値の関係が変わります。
- 親を動かし、子が追従することを確認します。子を動かしても、親へ逆向きに同じ影響が伝わる関係ではありません。
- 親を解除するときは、現在の配置を保つか、親の影響を外したローカル値へ戻すかを目的から選びます。
Parent Inverseは、親子付け時の見た目を保つために関係する変換です。子のLocationがゼロでも親の原点に見えるとは限りません。親の非一様スケールや回転、制約も含めて考えます。アニメーション済みの階層へApplyを加える前には、別名保存で元の状態を残します。
原点・統合・適用を選ぶ表
| 目的 | 操作 | 結果と注意 |
|---|---|---|
| 形をそのままに基準点を移す | Set OriginのOrigin to Geometry / 3D Cursor | 形の頂点を移す操作ではない。Mirror等の結果には影響し得る |
| 原点へ形を移す | Geometry to Origin | 形の位置が変わる。Origin to Geometryと逆の目的 |
| 現在の倍率を形へ反映する | Apply Scale | 見た目を保ちScaleを基準値へ戻すが、後段の処理結果は変わり得る |
| 位置や回転を基準値へ戻す | Clear Location / Rotation / Scale | 現在の見た目を保持するApplyとは異なる |
| 複数を一つのオブジェクトにする | Join | 同種のオブジェクトをアクティブ側へ統合する。頂点の溶接は別 |
| 接する頂点を一体化する | Edit ModeのMerge等 | 距離と選択を指定する。Joinだけでは実行されない |
| 一部を別物体へ分ける | Edit ModeのSeparate | オブジェクトとデータ共有の関係を再確認する |
Joinでは材質、UVや頂点グループなどがまとめられますが、選択物のすべてのモディファイアー・制約・親子関係をアクティブ側へ一式コピーする操作ではありません。形が違って見える原因が未適用の処理なら、統合の前後で評価がどう変わるかを確認します。
コレクションとView Layerの実用例
Background、Subject、LightsのようなCollectionへ分け、物体を整理します。これは名前の一例です。同じ物体を複数のCollectionへリンクすることと、複製することは異なります。一つの所属を解除しても、他の所属が残る場合があります。
最終画像の組み合わせを分けたい場合はView Layerを使い、該当Collectionの参加を設定します。Collectionを見えなくする設定と、View Layerから除外する設定は計算や寄与の扱いが異なります。作業画面で隠しても、レンダー側では別に有効な場合があるので、Outlinerの列を分けて見ます。
繰り返すセットはCollection Instanceとして配置できます。元の変更へ追従させたい段階では参照を保ち、個別に形を変える必要がある部分だけ実体化を検討します。実体化によりオブジェクト数やメモリが増え、元の集合を編集する利点が変わることも含めて選びます。
仕組みと用語を調べる
シーンに置くものを理解する
シーンにはメッシュ、カーブ、ライト、カメラ、アーマチュア、Emptyなどを置きます。オブジェクトは位置・回転・スケールなどを持ち、その中身となるメッシュやカメラ設定はオブジェクトデータが持ちます。一つのメッシュを複数のオブジェクトから共有することもできます。
Scene Propertiesでは単位や重力など、個々の物体より広い設定を扱います。別のシーンを作るときは、何を共有し何を複製する方式かを確認します。シーンを複数用意すること、View Layerで見せる対象を分けること、コレクションで整理することは、それぞれ別の操作です。
原点と物体の形
原点は変換や親子関係などの基準です。見えている形の中央と原点が一致しているとは限りません。原点を移す操作はメッシュの頂点を動かす操作と違います。Edit Modeで形をずらすと、原点をそのままに中身を移動できます。
回転やミラーの中心がずれるときは原点を確認します。スケールの値は寸法と別で、同じ寸法でもスケールが異なる物体を作れます。Applyは現在の変換をデータへ反映し、対応する変換値を基準の状態へ戻す処理です。親子関係、アニメーション、モディファイアーの結果に関係するため、作業途中で無条件に適用しません。
変換の精度を上げる
移動・回転・拡大縮小は、座標系、中心、軸の固定、数値入力を組み合わせます。数値の単位と向きを確認し、入力途中の中止と確定後のUndoを使い分けます。精密操作は、目分量を補うために使います。
Alignは基準へそろえ、Mirrorは基準に対して反転し、Randomizeは値へばらつきを与えます。Clearは変換値を基準へ戻し、Applyは現在の見た目をデータへ反映します。どちらも数値が変わるため、目的を言葉にしてから選びます。Snapは3D Cursorや対象への位置合わせにも使えます。
複製・リンク複製・統合・変換
通常の複製とリンク複製では、オブジェクトデータを共有するかが異なります。リンク複製の一つをEdit Modeで編集すると、共有先にも形の変更が現れます。独立させたい場合はMake Single Userで共有を解きます。マテリアルなど、別のデータの共有も確認します。
Joinは選んだオブジェクトを対応する種類の一つのオブジェクトへまとめます。重なった頂点を自動ですべて溶接する操作ではありません。Convertはカーブからメッシュなど、対応するデータ形式へ変換します。変換で編集方法や保持情報が変わるため、元データを残してから行うと比較できます。
親子関係とデータの転送
Parentは変換を階層で連動させる仕組みです。子の位置には親の変換が関係し、見た目を保つ処理にParent Inverseが関わる場合があります。単純に数値をコピーして同じ位置へ戻るとは限りません。親を変更する際は、ワールド空間で見た結果も確認します。
Link Dataは材質などの共有関係を作り、Data Transferは対応するメッシュ間で属性などを転送します。名前が似ていても、データを同じものとして参照するのか、値を写すのかが違います。転送元と転送先、アクティブ対象、対応付け方式を確認します。
コレクションとインスタンス
コレクションはオブジェクトを整理する単位です。同じオブジェクトが複数のコレクションへ所属できます。コレクションから関連付けを外すことと、オブジェクト自体を削除することを区別します。Outlinerの制限列は、ビューポート・レンダリング・選択などの対象を切り替えます。
コレクションインスタンスは、まとまりを参照して配置します。頂点や面に沿うインスタンス化も、繰り返し配置に使えます。参照による軽さがある一方、実体化するとデータ量や編集方法が変わります。独立した物体として編集したいか、元の変更へ追従させたいかで選びます。
可視性と整理
Hide、Viewport Display、レンダリングの可視性は異なる場面へ作用します。画面で見えているのにレンダーに出ない場合は、Object PropertiesとOutlinerの制限を確認します。表示色と実際のマテリアルの色も別です。
名前、コレクション、原点、データ共有を整えると、シーンが大きくなっても修正範囲を把握できます。削除やクリーンアップの前には、他のシーンや共有データで利用されていないかを確かめます。オブジェクト単位の制約、リジッドボディ、アセット化も、この管理構造の上で使います。
検証した範囲
最終確認:2026年10月23日。Blender 5.2.2 LTS(macOS / Apple silicon)を背景実行し、次の内容を確認しました。
- リンク複製で形を共有し、メッシュのSingle User後は片側だけ変わることを確認。
背景実行ではPython APIを使用しています。マウス・キー入力、画面遷移、インストール、各入力機器での操作を通して確認したものではありません。上記にない応用・設定の組み合わせは実行未検証です。
出典と利用条件
この記事で参照したマニュアルの項目:
- シーン & オブジェクト
- オブジェクトの基礎
- オブジェクトの親子関係
- Duplicate Linked(リンク複製)
- Collections(コレクション)
- Duplicate(複製)
- Join(統合)
- Object Origin(オブジェクトの原点)
- Apply(適用)
- Clear(クリア)
- Collections(コレクション)
- Selecting Objects
- 数値入力
- 軸のロック
- Opening & Saving
- デフォルトのキーマップ
- Mesh Primitives
原著:Blender Documentation Team、Blender 5.2 Manual。底本はBlender 5.2 LTS ManualのEPUB版です。ファイル内の発行日時メタデータは2026年10月19日で、記事の検証日とは別です。原典のライセンス表示に従い、裏庭(Uraniwa)が翻訳・要約・再構成・説明の補足を行いました。この記事の本文・補足・独自の図解と作例画像はCC BY-SA 4.0で公開します。Blender公式による記事・推奨を示すものではありません。原典で適用対象外とされるロゴ・商標・アイコン・ソースコード・Pythonスクリプトなどには、この許諾は適用しません。