分野別の詳説:参照したマニュアルの主要な仕組み・操作・設定を翻訳・要約・再構成した日本語解説です。全項目の逐語訳ではありません。確認順や例は編集上の補足です。手順から先に読み、必要なときに後半の仕組みの解説へ進めます。

この章の目標:外部素材と作品を渡す。
準備:作業用コピーと素材の一覧。

Save As → 相対パスを確認 → Pack対象を選ぶ → 別環境の依存を確認。成功:必要な素材と.blendを一組にできる。注意:動画やキャッシュも全てPackできると思う
手順と確認点の模式図。図を押すと拡大できます。

先に、編集用の.blendを保存する

File → Saveで、制作中のプロジェクトを保存します。初回は保存先と名前を指定します。macOSの標準割り当てはCommand+S、WindowsはCtrl+Sです。別名で節目を残す場合はSave As、連番を増やして保存する場合はSave Incrementalが使えます。

.blendは、編集を続けるためのファイルです。完成した画像を相手に見せたい場合は、別に画像として保存します。また、外部の画像やライブラリを参照する作品では、すべての素材が自動的に.blendへ入るとは限りません。原典の相対パスの//は、現在の.blendファイルがあるフォルダを基準にします。

実践:別のパソコンへ作品を渡す

  1. 編集用.blendを作業用フォルダーへSave Asします。画像、動画、音声、フォント、キャッシュ、外部ライブラリを一覧として把握します。
  2. FileのExternal Dataで相対パス化や欠損ファイルの検出を利用し、参照先が正しいかを確認します。相対パスの基準は現在の.blendです。
  3. 対応する画像・フォント等は必要に応じてPackします。全種類の外部ファイルがまとめられるわけではないので、動画・ライブラリ・キャッシュなどは別に扱います。
  4. 使うデータのユーザー数、Fake User、Actionや材質の参照を確認します。後で使う未使用データを整理で消していないかも見ます。
  5. 配布用のコピーを保存し、元の作業フォルダーと区別します。交換形式が必要なら、そのコピーから書き出します。
  6. 受け渡すファイルの構成、Blenderの版、必要な外部素材とライセンス、開始フレーム等をメモします。個人環境の絶対パスだけに依存しない形にします。

これは受け渡しの確認手順であり、各OSの画面操作やすべての外部素材の再読込まで検証したものではありません。

Link・Append・Overrideを選ぶ

方法元データとの関係使う場面
Appendローカルなデータとして取り込む元から独立して形や材質を直す
Link元ライブラリを参照する共有の素材の更新へ追従させる
Collection Instance集合を参照して配置するセットや部品を軽く繰り返す
Library OverrideLinkを保持しつつ対応する値を編集キャラクターを共有し、各ショットで操作する
Make Single User共有データを独立させる一つの形・材質だけを別に編集する
Pack対応する外部内容をファイルへ入れる画像等の参照切れを減らす。Link全体の独立化ではない
  1. 素材側の.blendで、関連する物体を明確なCollectionへまとめて保存します。Armatureや材質等の依存も整理します。
  2. 利用側でFileのLinkを選び、素材ファイル内のCollection等を選びます。元ファイルが参照先として必要です。
  3. Collection Instanceとして配置できる構成なら、ローカルの配置用オブジェクトを変換して位置を決めます。リンクされた内部の形を直接編集する操作とは異なります。
  4. ポーズなどの編集が必要なら、対応するLibrary Overrideを作ります。階層の途中だけを不適切に取り込まないよう、関連するルートCollectionを整えます。
  5. 元素材が更新されたら参照の更新を確認します。ライブラリの移動・名前変更・削除も利用側へ影響します。

アセットを登録して再利用する

対応するオブジェクト、材質、ノードグループ等をMark as Assetで指定し、名前、説明、タグ、プレビューを整えて保存します。Preferencesへその.blendを含むライブラリの場所を登録し、Asset Browserで選びます。初回の走査と後のインデックス利用では、読み込みの時間が異なる場合があります。

Catalogは意味による分類であり、ディスク上のフォルダー階層と同じである必要はありません。Remote Asset Libraryは必要に応じて内容を取得し、ローカルキャッシュへ保存します。参照EPUB版では遠隔の各.blendは単独で使えるよう外部依存をPackする条件があり、アセットの版管理という概念にも制限があります。

交換形式を目的から選ぶ

目的形式を探す入口確認する情報
表面形状を渡すOBJ・PLY・STL等単位、軸、法線、UV、色の対応。形式で保持情報が違う
骨格と動作を渡すFBX等変形骨、キー、ベイク、FPS、材質の互換性
変形する形状をキャッシュするAlembic等範囲、時間、トポロジー、属性、ファイル容量
シーン構成を交換するUSD等階層、インスタンス、アニメーション、相手側の実装
描画や輪郭を渡すSVG・Grease Pencil用の形式等対象データ、線・塗り、投影、対応する出力機能
パスを保持した画像を渡すOpenEXR等精度、層、色空間、アルファ、圧縮

表は目的の入口で、すべてが完全に往復できる保証ではありません。モディファイアー適用、インスタンスの実体化、制約のベイクが必要かを相手側の対応から判断します。新しい版の.blendを古い版で開く場合も、読めることと同じ機能を編集できることを区別します。

仕組みと用語を調べる

.blendはデータの集合

.blendにはオブジェクトだけでなく、メッシュ、材質、画像への参照、ノードツリー、シーン、Action、ワークスペースなどのデータブロックが入ります。データブロック同士は参照を持ち、複数の対象から共有できます。オブジェクトを消すことと、そのオブジェクトが参照していた全データを消すことは同じではありません。

一方、ボーンや頂点グループなどは、それ自体が独立したデータブロックではなく、別のデータに属する要素です。名前は同じ種類の中で区別されます。OutlinerのBlender Fileなどの表示を使うと、シーン上の見え方とは違う単位でデータの存在を調べられます。

ユーザー数と保持

データのユーザー数は、どこから参照されているかへ関係します。共有している材質を編集すると複数の物体が変わり、共有メッシュを編集すると形が連動します。Make Single Userなどで独立させる場合も、オブジェクト、メッシュ、材質のどこを独立させるかを区別します。

使用されていないデータは、保存・再読み込みなどで保持されない場合があります。Fake Userは対応するデータを残すために使いますが、外部リンクデータなどには条件があります。名前を付けたことだけで永続保存を保証できません。Orphan Dataの整理は、後で使いたいActionや材質を含めて確認してから行います。

保存・復旧・互換性

Saveは現在のファイルを保存し、Save Asは保存先や名前を変えます。作業段階を分けた複製、Save Versions、自動保存の役割は異なります。自動保存は別のディスクへのバックアップの代わりにはなりません。元のデータを上書きする前に、必要な編集状態を残します。

新しい版で作った.blendを古い版で開いても、新しい機能の情報がすべて保持されるとは限りません。読めることと、結果が同じであることを区別します。別の版や外部ソフトへ渡すときは、元ファイルを保存し、交換用のコピーで変換します。

外部パスとPack

画像、音声、動画、フォント、ライブラリ、キャッシュなどは外部ファイルを参照します。相対パスは.blendの場所を基準とし、二つのスラッシュで始まる表記を使います。絶対パスは特定の場所を指すため、別のパソコンへ移すと同じ場所に存在しないことがあります。

Pack Resourcesは対応する外部データを.blendへまとめます。すべての種類の外部素材やキャッシュを一律に埋め込めるわけではありません。Unpackするときも、既存ファイルをどう扱うかを確認します。Find Missing Filesなどで参照を探す場合は、同名の別素材を取り込んでいないかも調べます。

LinkとAppend

Appendは別の.blendからデータを取り込み、このファイル側の編集対象として使います。Linkは元のライブラリを参照し、更新へ追従する方式です。Linkしたデータは原則として直接編集が制限されます。コレクションをインスタンスとして配置するなど、ローカル側で配置を変える構成は取れます。

元の変更を各シーンへ届けたいならLinkが役立ち、独立した素材として直したいならAppendが候補です。依存するデータも一緒に必要になります。ライブラリファイルの移動、名前変更、削除は参照先へ影響するので、共同作業ではパスと更新方法をそろえます。

Library Override

Library OverrideはLinkとのつながりを保ちながら、一部の値をこのファイル側で編集する仕組みです。キャラクターを共有しつつ各ショットでポーズを付ける、といった用途があります。元ファイルの更新は、上書きしていないプロパティへ反映されます。

すべての情報を自由に独立編集できるという意味ではありません。元のコレクション階層、Armatureや関連データ、Overrideの関係を整えることが重要です。参照EPUB版は旧Proxyが置き換えられた経緯も説明しています。古いProxyの手順を現在のOverrideへ読み替えるだけでは、同じ操作にならない場合があります。

アセットライブラリとCatalog

アセットは、再利用しやすいよう意味とメタデータを付けて管理するデータブロックです。Preferencesへライブラリの名前と場所を登録し、Asset Browserから利用します。プレビュー、説明、作者、タグなどを整えると、形や材質を探しやすくなります。

Catalogはアセットの分類です。ディスク上のフォルダー構造と、一対一に一致する必要はありません。ブラシ、ポーズ、ノードグループなども、対応する形式でアセットとして扱えます。参照EPUB版にはオンラインで必要に応じて取得するライブラリも収録されています。ローカル保存の位置、配布元、利用条件をそれぞれ確認します。

画像・動画・3D形式

画像形式はアルファ、ビット深度、HDRやパスの保存へ関係します。動画はコンテナとコーデックを分けて考えます。3Dの交換形式では、形だけか、材質、階層、アニメーション、キャッシュまで必要かを先に決めます。形式名が同じでも相手側の実装によって対応が違います。

OBJ、PLY、STLはそれぞれ形や属性の受け渡しに使われ、FBXは階層・骨格・動作など、Alembicは評価された動く形状、USDはシーン構成などの用途があります。これは形式を探すための目安で、すべてのデータが完全に往復できる保証ではありません。単位、軸、法線、UV、テクスチャ、フレーム範囲を確認します。アドオンとして提供される形式では、その有効状態も関係します。

受け渡し前の整理

編集用.blend、外部素材、キャッシュ、交換用データ、最終画像・動画を区別します。相手が何を変更するかによって、Linkを維持するか、実体化・ベイクするかを選びます。Packしたつもりで素材を削除せず、必要な参照が揃っているかを確認します。元のファイルを残すことで、交換形式で失った編集情報にも戻れます。

検証した範囲

最終確認:2026年10月23日。Blender 5.2.2 LTS(macOS / Apple silicon)を背景実行し、次の内容を確認しました。

  • 上面0.3押し出し、12頂点・10面、材質、960×540 PNGと.blendの保存・再読込。Cycles CPUとEEVEEで画像保存を確認。

背景実行ではPython APIを使用しています。マウス・キー入力、画面遷移、インストール、各入力機器での操作を通して確認したものではありません。上記にない応用・設定の組み合わせは実行未検証です。

出典と利用条件

この記事で参照したマニュアルの項目:

原著:Blender Documentation Team、Blender 5.2 Manual。底本はBlender 5.2 LTS ManualのEPUB版です。ファイル内の発行日時メタデータは2026年10月19日で、記事の検証日とは別です。原典のライセンス表示に従い、裏庭(Uraniwa)が翻訳・要約・再構成・説明の補足を行いました。この記事の本文・補足・独自の図解と作例画像はCC BY-SA 4.0で公開します。Blender公式による記事・推奨を示すものではありません。原典で適用対象外とされるロゴ・商標・アイコン・ソースコード・Pythonスクリプトなどには、この許諾は適用しません。