分野別の詳説:参照したマニュアルの主要な仕組み・操作・設定を翻訳・要約・再構成した日本語解説です。全項目の逐語訳ではありません。確認順や例は編集上の補足です。手順から先に読み、必要なときに後半の仕組みの解説へ進めます。

この章の目標:画面を分けて同じ物体を編集。
準備:Generalファイルと標準キーマップ。

エリアを分割 → Shader Editorへ変更 → 材質の対象を確認 → 保存。成功:片側で形、片側で同じ物体の材質を見る。注意:エディターのピン留めで別の材質を編集
手順と確認点の模式図。図を押すと拡大できます。

1.対応する版を選ぶ

マニュアルは、インストール前に最低・推奨要件と配布版を確認するよう案内しています。入手先はBlender公式サイトです。配布ページの対応OS・メモリー・GPUの条件も確認してください。この連載の底本は5.2系です。別の版では、画面の位置や機能名が異なる場合があります。

macOS:参照したマニュアルでは、Blender 5.0以降のMac版はApple silicon搭載機のみ対応とされています。MacのAppleメニュー → このMacについてで、「チップ」または「プロセッサ」の表示を確認できます。Intel Macの場合は、対応する旧版とその版のマニュアルを確認してください。

Windowsの補足:x64版とarm64版があり、CPUの種類に合うものを選びます。OS名だけでなく、配布ファイルのアーキテクチャも確認します。

2.インストールする

  1. macOS用のDMGファイルを入手し、ダブルクリックして開きます。
  2. Blender.appをアプリケーションフォルダへドラッグします。
  3. アプリケーションフォルダから起動します。初回はmacOSの設定に応じた確認が表示されることがあります。

更新時も、新しいDMGからアプリを配置します。原典では、アプリ名を変えるか別のフォルダに置くことで複数の版を保持できると説明しています。

Windowsの補足:インストーラーはスタートメニューへの登録やファイルの関連付けを行い、原典では管理者権限が必要とされています。ZIP版は任意のフォルダに展開して実行し、管理者権限を必要としませんが、自動でのメニュー登録や関連付けはありません。Microsoft Store版はStore経由で更新されます。

3.操作の前提をそろえる

初回設定ではキーマップをBlender、選択を左クリックにします。Industry Compatibleは他の制作ソフトに近い操作体系で、この連載の前提とは異なります。Spacebar Actionは再生・ツール・検索などを選べるため、スペースキーの動作は設定によって変わります。

設定は後からPreferences(プリファレンス/環境設定)で変更できます。キーマップと選択ボタンはKeymap、入力機器の代用設定はInputで扱います。macOSのPreferencesはCommand+,でも開けます。WindowsではEditメニューから開きます。言語を日本語にしても、記事に併記する英語名で項目を照合してください。

4.マウス・トラックパッド・テンキー

原典が推奨するのは、ホイールを押し込める3ボタンマウスとテンキー付きキーボードです。ただし、MacBookのトラックパッドでも学習できます。

  • トラックパッド:PreferencesのInputにあるMulti-touch Gesturesを確認します。視点操作の対応はビューポートと各エディターで説明します。
  • 中央ボタンのないマウス:Emulate 3 Button Mouseを使うと、ModifierがAltなら、Alt+左ドラッグで中央ドラッグを代用できます。MacのAlt表記はOptionに相当します。macOSではModifierをOSKey(Command)にする選択肢もあるので、実際の設定と合わせてください。
  • テンキーがない:Viewメニューや画面の視点操作も使えます。Emulate Numpadを有効にすると上段の数字キーをテンキーとして扱うため、編集モードの頂点・辺・面選択など、元の数字キー操作と競合します。

入力の代用設定は、できない操作を補うためのものです。最初から全部を有効にする必要はありません。ショートカットが合わないときは、キーマップと代用設定を先に確認しましょう。

小さな練習:標準の新規ファイルを用意する

  1. 初回設定を保存し、起動時の案内画面があれば、その外側をクリックして閉じます。
  2. File → New → Generalで標準のシーンを開きます。すでに制作中のファイルがある場合は、先に保存してください。
  3. 上部のLayoutを選び、右上の一覧にCube・Camera・Lightがあることを確認します。独自のスタートアップ設定を使っていると、初期配置が違う場合があります。
  4. File → Saveを選び、分かりやすいフォルダにfirst-cube.blendとして保存します。保存画面で名前を入れた後、Save Asなどの保存ボタンで確定します。

ここまでの目安:中央に立方体が見え、保存先のフォルダに.blendファイルがあります。このファイルを総合目次の練習順に沿って使います。工場出荷設定へのリセットやスタートアップ設定の上書きは、この練習には必要ありません。

実践:画面を二分し、編集対象を見失わない

この節以降の数値例と作業順は、原典の操作を組み合わせた編集上の例です。標準のBlenderキーマップを前提とし、画面操作の通し検証は行っていません。

  1. Generalのシーンを開き、画面中央の3D Viewportへポインターを置きます。キーボード操作は、その場所のエディターへ送られるものが多くあります。
  2. エリア境界を右クリックし、Vertical SplitまたはHorizontal Splitを選びます。分割線の位置を決めます。境界のドラッグで大きさを調整する操作と、分割は別です。
  3. 片側のエディタータイプをShader Editorへ変更します。もう片側は3D Viewportのままにし、オブジェクトを選びます。画面を分けただけでオブジェクトや材質が複製されることはありません。
  4. Shader Editorに目的の材質が出ない場合は、選択中のオブジェクト、Material Slot、Newの必要性、ピン留めを調べます。ピン留めしたエディターは選択へ追従しないことがあります。
  5. エリアを大きく見る必要がある場合は、ViewのAreaにあるMaximize Areaを利用します。同じ操作で戻せます。新しいウィンドウへ複製する機能と区別します。
  6. 最後に.blendを保存します。Preferencesを変えた場合は、Preferences側の保存状態も確認します。作品の保存と個人設定の保存は同じ操作ではありません。

成功の目安は、一つの物体を表示しながら、その物体の材質を別のエリアで編集できることです。どちらのエリアへキーを送ったかも説明できる状態を目指します。

入力部品を操作の結果から使い分ける

部品・操作使い方間違えやすい点
数値欄ドラッグで変更し、直接入力で値を確定する表示単位と、値が距離・角度・倍率のどれかを読む
精密操作ドラッグ中にShiftを押すと変化を細かくできるドラッグ開始前のキーは別の操作になる場合がある
増分へのスナップ対応するドラッグ中にCtrlで増分へそろえるシーンの面へ吸着するスナップとは用途が異なる
リセット欄のコンテキストメニューや既定値へ戻す操作を使う現在のアニメーションやドライバーが再び値を決める場合がある
データのユーザー数複数ユーザーの数字をクリックすると独立したコピーを作れるオブジェクト全体の複製ではなく、その欄のデータが対象
New・複製新規データまたは現在のデータのコピーを作って選ぶ同名でも別データか、既存データを共有しているかを見る
×による解除現在の対象とデータの関連を外すデータそのものの即時削除とは限らない
Fake User実ユーザーのない対応データを保存後も残す外部リンク等の条件は異なる。外部素材のPackでもない

ノードグループを再利用する基本手順

  1. 同じ種類のノードエディターで、まとめたい処理のノードを選び、Nodeのグループ作成操作を使います。
  2. Group InputとGroup Outputを境界として、外から変更したい値と、外へ返す結果を決めます。グループ内で固定してよい値まで全て公開する必要はありません。
  3. グループを出て、公開された入力を変えます。見た目が変わるかに加え、内部でどこへ接続される値かを確認します。
  4. 同じグループを別の場所へ追加します。共有グループの中身を編集すると、その利用先にも変更が伝わります。個別に構造を変えたい場合はグループを独立させます。

Frameは見た目の整理、Rerouteは配線の整理、Groupは処理の再利用です。Frameへ囲んだだけでは入力・出力を持つ一つの部品にはなりません。グループは自分自身を直接・間接に含む再帰構造にはできません。

入力できないときは、まず欄の無効状態と対象データの種類を確認します。メニューが見当たらないときは、画面の幅で折り畳まれているか、モードが違わないかを調べます。OSのショートカットへ奪われている問題と、Blender内のコンテキストの問題も分けます。

仕組みと用語を調べる

操作の前提をそろえる

Blenderの操作は、キーマップ、入力機器、ポインターの位置、モードに依存します。同じキーでも、3D Viewportとテキスト入力欄では働きが違います。まずPreferencesで標準のBlenderキーマップかIndustry Compatibleかを確認します。本ガイドの基本練習は標準キーマップと左クリック選択が前提です。

macOSではCommand・Control・Optionを区別します。原典にCtrlとある操作をすべてCommandへ置換すると、別の操作になることがあります。上段の数字とテンキー、Fnを伴うファンクションキー、トラックパッドのジェスチャーも別々に確認してください。Linuxではインストール方法に加えて、ウィンドウ環境とドライバーが表示に関係します。Steam版も原典の導入方法に含まれます。

ウィンドウ・エリア・リージョン

ウィンドウの中は複数のエリアに分かれ、それぞれにエディターを表示します。エリアは分割・結合でき、3D Viewportの場所をShader Editorへ切り替えることもできます。ワークスペースは、作業目的に合わせた画面構成を切り替える仕組みです。ワークスペースを変えても、別の作品ファイルへ移るわけではありません。

エリア内のヘッダー、ツールバー、サイドバーなどがリージョンです。サイドバーを開くこととPropertiesエディターを開くことを区別します。トップバーには全体のメニュー、ステータスバーには現在の操作に関する案内などが表示されます。最大化したエリアから戻れないときは、表示状態を確認してからレイアウトを作り直します。

ツールとオペレーター

ツールは選択後に繰り返し使う操作手段、オペレーターは実行する処理です。移動ツールを有効にすることと、Moveを一度実行することは同じではありません。処理直後のAdjust Last Operationでは、その処理に用いた値を調整できます。別の操作を挟んだ後も、以前の処理を自由に編集できる機能ではありません。

検索で機能を探すときも、対象のエディターとモードが適切かを確認します。実行できない処理は検索候補に現れない場合があります。繰り返し実行する前に、オブジェクト選択、編集モード、アクティブな項目を見直すと、操作の積み重なりを避けられます。

入力欄・メニュー・データの選択

数値欄はドラッグや直接入力で編集します。単位や式を入力できる欄もありますが、値の意味と単位を確認して使います。複数値の編集、リセット、コピーなどはコンテキストメニューにもまとまっています。チェックボックスは有効・無効を、ラジオボタンや選択メニューは方式を切り替えます。

スポイトは別の場所の色や対象を指定するときに使います。データブロックメニューでは、既存データを選ぶこと、新規作成すること、複製して独立させること、関連付けを外すことを区別します。リストビューとツリービューでは、選択した行と有効な項目が必ずしも同じ意味ではありません。

色・ランプ・カーブ

カラーピッカーではRGBやHSVなどの表現とアルファを確認します。Color Rampは複数の色の停止点と補間で、入力値を色へ変換します。停止点の位置を動かすと色の境界が変わり、補間方式を変えると滑らかさが変わります。カラー値そのものと、画面へ表示するための色変換は別です。

カーブウィジェットは入力と出力の対応を編集します。直線から外すほど値を非線形に変えられます。ランプやカーブを強く調整して元の情報を切り捨てる前に、入力の範囲を確認します。色パレットは作業で使う色の管理に役立ちます。

ノードエディターの共通操作

ノードは入力・処理・出力をつなぐ部品です。リンクの接続、切断、ノードの複製、ミュート、選択、配置は複数のノードエディターで共通する考え方を持ちます。ただし、材質・形状・合成のノードを相互にそのまま流用できるわけではありません。

Frameはノードを見やすく整理し、Rerouteは配線を整理します。Node Groupは処理をまとめ、外に公開する入力と出力を定義します。Bundleは複数の値を一つの接続にまとめ、Closureは処理の一部を外から渡す仕組みです。いずれも、何を入力し何を返すかを明確にすると再利用しやすくなります。

元に戻す・選択・注釈

UndoとRedoで作業履歴を移動できますが、外部ファイルの保存やすべての設定変更を同じように戻せるとは限りません。複数操作を大きく巻き戻す前には別名保存が役立ちます。Annotationsは画面へ補助的な線を描く機能で、作品として描くGrease Pencilとは用途を区別します。

選択は「処理される対象を指定する」操作です。複数選択中のアクティブ要素、非表示の対象、選択制限を理解すると、想定外の結果を追いやすくなります。表示が変わっただけか、データが変わったのかも、取り消す前に確認してください。

Preferencesを目的から探す

  • Interface・Themes:文字や表示、配色など、操作画面を調整します。
  • Input・Navigation・Keymap:マウス代用、視点移動、キー割り当てを調整します。
  • Editing・Animation:編集とアニメーションの既定動作を扱います。
  • System・Viewport・Lights:計算資源や表示に関する設定を扱います。
  • Save & Load・File Paths:自動保存、読み込み、各種ファイルの場所を確認します。
  • Asset Libraries・Get Extensions・Add-ons:アセットと追加機能を管理します。設定を保存したかも確認します。

検証した範囲

最終確認:2026年10月23日。Blender 5.2.2 LTS(macOS / Apple silicon)を背景実行し、次の内容を確認しました。

  • 上面0.3押し出し、12頂点・10面、材質、960×540 PNGと.blendの保存・再読込。Cycles CPUとEEVEEで画像保存を確認。

背景実行ではPython APIを使用しています。マウス・キー入力、画面遷移、インストール、各入力機器での操作を通して確認したものではありません。上記にない応用・設定の組み合わせは実行未検証です。

出典と利用条件

この記事で参照したマニュアルの項目:

原著:Blender Documentation Team、Blender 5.2 Manual。底本はBlender 5.2 LTS ManualのEPUB版です。ファイル内の発行日時メタデータは2026年10月19日で、記事の検証日とは別です。原典のライセンス表示に従い、裏庭(Uraniwa)が翻訳・要約・再構成・説明の補足を行いました。この記事の本文・補足・独自の図解と作例画像はCC BY-SA 4.0で公開します。Blender公式による記事・推奨を示すものではありません。原典で適用対象外とされるロゴ・商標・アイコン・ソースコード・Pythonスクリプトなどには、この許諾は適用しません。